2004.8.12
食欲の秋・スポーツの秋…
体脂肪学
男も女も30歳のハードルを越えた頃から、ふとあることに気が付く。
ど〜も最近ウエストがキツイ。入浴時に写った鏡の前の自分は、
明らかに不恰好になりつつある。 認めたくない事実である。
飽食と運動不足を繰り返すことで、真っ先に脂肪がつく場所…それは、腹。
◎腹が出るには理由があった!
人の骨格の構造上腹部は胸部のように骨でガードされていない。
つまり、無防備な状態で前方にさらされている事になる。
そんな場所に。大切な内臓がぎっしり詰まっているのだ。
なんとかガードしなくては…。
そこでクッション材として脂肪が活躍するのである。
適度な脂肪は筋肉と共に内臓を適正位置にセッティングする役割も持っている。
2本足で立つからには、脂肪も必要不可欠なものというわけ。
◎女性ホルモンと脂肪の関わり
小学校低学年において、男女の体型に大差はない。
体幹部はずん胴で四肢はヒョロリと細長い。
中学校入学の頃から、男子の肩や腕周りは盛り上がり、女子の腰周りは丸みを帯びる。
精巣からは、たくましく働ける為の筋肉を造る男性ホルモン、
卵巣からは妊娠・出産の為のエネルギーとして、体脂肪を蓄える為の
女性ホルモンが大量に分泌されるからだ。
太もも周りがふくよかになってゆくのは、内臓などに負担をかけない
下半身に脂肪を蓄えようとするためらしい。
さらに女性は更年期を迎え閉経すると、女性ホルモンが激減し
その材料である脂肪が不要になる。
つまり脂っこい食事が苦手になる。
一方、男性はそういう事がないので、いつまでもカツ丼が大好物なのである!
◎目に見えない体脂肪
体内の脂肪…それはプヨプヨで白い。
一目でわかる脂肪だけではない。血液中にも溶け込んで体内を巡っている。
一口に脂肪といってもその種類はさまざま。
有名なのがコレステロールと中性脂肪。コレステロールにはいわゆる善玉と悪玉がある。
中性脂肪とともに悪玉コレステロールが増えすぎると、ドロドロと
粥状になって血管壁にこびりつき、血液の流れを滞らせてしまうのだ。
その原因となるのは、食べ過ぎと運動不足。
◎では、対処法は?
内臓脂肪は皮下脂肪に比べると反応性が高く、分解されやすい。
そこで食事の制限とともに、運動習慣を取り入れたい。
基本はやはり、有酸素運動。
といっても最初からいきなりジョギングの必要はない。
毎日30分のウォーキングだけでもいい。運動刺激が脳から交感神経の
ホルモンを分泌させ、その指令によって内臓脂肪の分解が行われるはず。
タバコやストレスも大きなリスクとなるため、生活習慣の見直しも大切。
体重減少の目安は、月に1〜2kg。
あまりに急激なウエイトロスは、筋肉量や骨量の減少を招き、
リバウンドすることが多い。
1年で12kg減を目指そう!
◎有酸素運動
筋肉には大きく分けて2つの種類がある。
大きな力を出すが、エネルギー切れの早い速筋と、
長時間微力ながらもパワーを出し続ける遅筋だ。
有酸素運動では主に遅筋が使われる。
酸素を取り入れ、脂肪を大いに利用してエネルギーを生み出すので、
長い間働き続けることが可能。
有酸素運動により、筋自体がそれほど肥大することなく、
よりエネルギーを生産できるカラダになっていく。
つまり、有酸素運動をすることによって、より簡単に脂肪をエネルギーにできる。
ということは、太りにくいカラダが出来上がっていくという事である。
◎20分…
少し前まで有酸素運動は20分以上続けなくては効果がないと言われてきた。
しかし、最近は研究により考え方が変わってきている。
たとえば、20分走るのが厳しければ、7分X3回にわけてもOK!
という見方になってきたのだ。
ヒトが運動をし始めると炭水化物をエネルギー源とするシステムと、
脂肪をエネルギー源とするシステムが同時に働き始める。
まず最初に炭水化物がエネルギーとして使われ始め、
徐々に脂肪をエネルギー源とするシステムに移行する。
その切り替えが20分かかるというワケ。
しかし、良く考えてみると、両方とも始めから稼動しているので、
7分でも脂肪は燃えているのだ。
もちろん20分以上続けられるのがベストだが、
無理な人は7分3回から始めることにより、脂肪を効率よく
燃やせるカラダが徐々に出来上がっていくのだ!
さあ!この秋こそ、頑張ってみよう!
2004.9.6
ウォーターローディング
水はなにより大切な生命の源。その働きをきちんと理解しよう。
健康というと、栄養や運動を考えがちだけれど、
生命にとって一番大切なのは水なんだ…。
水のないところに生命は存在しない―。
水はあらゆる生命の根源なのである。
人間は食べ物を一切摂らないで30日生きられるという。
しかし、水なしではたったの3日で力尽きてしまう。
人間の身体は水分不足にめっぽう弱い。体内の水分量が2〜5%減るだけで
体調不良に陥り、15%も減少すると命の危険にさらされる。
人間の身体は成人男性で65%、女性で60%もの水分で占められている。
大人よりも子供の方がさらに高い比率で、新生児でおよそ75%。
胎児になると90%が水でできているのだ!
時代とともにトレーニングも進化している。
たとえば「うさぎ跳び」。根性だけでこなしてきた筋トレメニューの一つだ。
これは膝に負担がかかりすぎるという理由で姿を消した。
また、練習中の水分補給も十数年前までは「飲まない」のが常識だった。
ところが、今では積極的に水分を摂ることが奨励されている。
30分程激しい運動を続けると、直腸温は40℃近くまで跳ね上がる。
この時、人間の身体は快適な生命活動を求めて発汗する。
外気温20℃の環境で軽く1時間運動するだけで、500ml。
激しい運動なら3〜5gもの汗が出る。
こんなに大量の汗はどこから来るのかというと、そのほとんどは血液からまかなっている。
なんと汗の成分は血液と似ている。そのままで良いわけがない。
スポーツ中に水分を補給することは、自然なごく当たり前の考え方なのである。
水分ロスと運動能力
口内が乾き、尿が濃くなる。→運動能力10〜20%低下 |
頭痛を引き起こす危険な状態。→運動能力20〜30%低下 |
めまいを引き起こす危険な状態。→運動能力30%以上低下 |
水分補給の基本的な考え方は、身体から出て行く成分を補充するということだ。
つまりミネラルを水と一緒に補給するというのがもっともベーシックな水分補給。
軽い運動でも水道水は避けた方が無難。手っ取り早いのはミネラルを豊富に含んだ
ミネラルウォーターだ。ちなみにマラソン選手は水に少量の食塩、クエン酸、
糖、ビタミンなどを加えているらしい。たかが水をあなどってはいけない。
競技によっては、水分補給のプランが勝負を決めるのだ。
人に「枯れる」という言葉を使うのは、中年を過ぎてから。
決して悪い意味ばかりではないのだが、他人から言われるとあまりいい気はしない。
一方、赤ちゃんは「みずみずしく」若者は「水も滴る…」など、
水の有る無しでイメージはこうも違う。
まるでイメージばかりでもない。人間は年を重ねるごとに水分量が減少し、
だんだんと「枯れていく」。
体水分率が下がるとどうなるか。
臓器の組織の水分が減少し、機能が低下する。皮膚は弾力がなくなって乾燥し、
筋力も低下する。また、血液を含む体液の減少によって老廃物等の排泄が不完全になり
いろんな病気の原因にもなる。これらはすべて「老化現象」の根本的な理由。
体内の水分の減少は「老化」とイコールなのである。
ならば、意識的に水分を摂取して水分率が減少しないように努力すればいい。
老化を完全に防止することは無理でも、老化を遅らせることは可能だ!
美容の面でもかなりの効果が期待できる。
ダイエットにも水分補給は大きなポイントとなる。
骨や筋肉をキープしたまま、体脂肪だけを減少させる。これが正しいダイエット。
筋肉量が減ると基礎代謝が低くなり、かえって痩せにくい身体になってしまう。
筋肉には血液がたっぷり入っていて、筋肉組織を構成するタンパク質の構造を
維持するために水は不可欠。水分を十分に摂らないと、筋肉を維持できないということ。
やってはいけないのが食事制限だけのダイエット。人間が1日に摂取する水の量は
およそ2.6g。このうち約1gは食べ物から摂取している。
食事制限だけでダイエットをやろうとすると、最初の1週間で簡単に2kg程度は
体重を落とす事ができる。しかし、減量分の多くは失った体内の水分量。
体内に水分が足りなくなったら、筋肉をキープできなくなってしまう。
たった2kgの体重とひきかえに失うものは、はるかに大きいのだ。
水はカロリーゼロなので、いくら飲んでも体脂肪を増加させる事はない。
逆に蓄積脂肪の代謝を促進させる働きがあるほど。
健康体なら余分な水分は腎臓がコントロールしてくれるので、
水を摂取して悪い事は何もないわけだ。
バランスよく水分を補給することが、健康・美容にいいのはもちろん、
脳梗塞や高血圧、糖尿病など、水分不足と関連の深い病気の予防にもなる。
少なくとも、就寝前、起床時、入浴前後は必ず水を飲む習慣をつけたい。
特に寝る前の水は「宝水」と呼ばれるほど重要。
眠っているあいだに進行する血液からの脱水を予防してくれる。
それぞれ1回あたり150〜200ml。
コップ一杯の水がもたらす恩恵は計り知れないのだ。
水を積極的に摂るダイエットプログラムがある。
摂取する水の量は体重1kgに対し40cc。
50kgの人で2gが目安。
水分摂取のメリットは主に2つ。
カロリーをコントロールしやすくする為に空腹感を抑えることと、
脂肪の代謝を高める働きがあるということ。
運動は筋肉トレーニング中心に、基礎代謝を高める身体造りを目標にする。
さあ!がんばって!